UCバークレー、動画生成AIを18倍高速化
2026年2月19日 (木)
- •UCバークレーのSLA2が、動画拡散モデルのアテンション速度を18.6倍に向上させた
- •スパース計算とリニア計算を動的に切り替える「学習可能ルーター」を新たに導入した
- •量子化訓練により、画質を維持しつつアテンションの97%を削減することに成功した
高品質な動画生成AIは、フレーム内の各要素に注目する「アテンション」の仕組みにより、膨大な計算コストを要することで知られている。標準的な手法では処理速度と画質のバランス維持が難しく、特に長尺や複雑なシーンでは処理の遅延が大きな課題となっていた。これに対し、カリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)の研究者であるジンタオ・チャン(Jintao Zhang)氏らのチームは「SLA2」を開発した。これは、最終的な出力の質感を損なうことなくプロセスを劇的に最適化する、洗練されたアプローチである。
このブレイクスルーは、主に3つの構造的な改善によって実現された。まず、データの重要性を固定されたルールで判断するのではなく、学習可能なルーターを用いて、フレームごとに最も効率的な計算経路を動的に選択する仕組みを導入した。さらに、特定の重要点に焦点を当てる「スパース」と全体的なパターンを要約する「リニア」という2種類のアテンションを、最適な比率で柔軟に組み合わせる手法を採用している。これにより、単なる高速化だけでなく、動きを再構成する際の数学的な正確さも確保された。
効率を極限まで高めるため、チームは「量子化訓練」と呼ばれる技術を統合した。これは低精度の数値を用いて計算を行い、その際に生じる「丸め誤差」を適切に処理するようAIを事前に訓練する手法である。実際にこのシステムは計算の97%を省略できる高いスパース性を達成した。その結果、アテンションのフェーズで18.6倍という驚異的なスピードアップを実現しており、効率化がクリエイティブな品質と両立し得ることを証明したといえる。