RARE-PHENIXが希少疾患の診断を加速
2026年3月9日 (月)
- •RARE-PHENIXは臨床ノートから症状を抽出・順位化し、希少疾患の表現型解析を自動化する。
- •従来のディープラーニング手法を上回り、0.70のオントロジー類似度スコアという高い精度を記録した。
- •バンダービルト大学医療センターの1万6,000件以上の実データを用いて、その有効性が検証された。
希少疾患の診断は、患者が答えを見つけるまでに数年を要し、臨床医が膨大な非構造化データを手作業で精査しなければならない「診断の長い旅(Diagnostic Odyssey)」と称される。こうした課題を解決するため、研究チームは複雑な診断プロセスを自動化するエンドツーエンドのAIフレームワーク「RARE-PHENIX」を開発した。このシステムは、散在する臨床テキストを構造化された標準データへと変換することで、医師が特定の希少疾患を特定するのに不可欠な症状を迅速に見つけ出せるよう支援する。
本フレームワークは、実際の医療現場のワークフローを再現した高度な3段階のプロセスで動作する。まず、医師の記述から医療的所見を直接抽出し、次にそれらを表現型異常の標準語彙である「ヒト表現型オントロジー(HPO)」へと紐付ける。最後に、教師ありランキングモジュールが診断上の重要度に基づいて用語に優先順位を付けることで、最も有用な情報が医師の視界に入る仕組みとなっている。
バンダービルト大学医療センターの1万6,000件を超える臨床ノートを用いた厳格な評価の結果、RARE-PHENIXは既存のディープラーニングモデルを大幅に上回る性能を示した。表現型解析を単なるテキスト抽出としてではなく、臨床全体のワークフローとしてモデル化したことが、高い精度と実用性につながっている。こうした「ヒューマン・イン・ザ・ループ」型のアプローチは、複雑な診断に伴う手作業を大幅に軽減し、患者が答えにたどり着くまでの時間を短縮させる可能性を秘めている。