PFN、Matlantis CSPにOptunaを導入し結晶構造探索を高速化
- •Matlantis CSPに黒体最適化フレームワークOptunaを統合し、未知の結晶構造を効率的に探索
- •汎用NNP「PFP」とOptunaの非同期並列処理を組み合わせ、膨大な計算コストを大幅に削減
- •遺伝的アルゴリズム(NSGA-II)をベースにした独自の探索ループにより、大規模な自動評価を実現
Preferred Networks (PFN)は、クラウド型原子レベルシミュレーションプラットフォーム「Matlantis」において、新サービス「Matlantis CSP (MTCSP)」をリリースしました。このサービスの中核には、PFNが開発を主導するオープンソースのブラックボックス最適化フレームワーク「Optuna」が採用されています。結晶構造探索(CSP)は、新材料開発における極めて重要な工程ですが、その探索空間は膨大であり、従来の密度汎関数法(DFT)では膨大な計算コストと時間が必要でした。MTCSPでは、汎用ニューラルネットワークポテンシャル「PFP」を用いて高速なエネルギー評価を行い、その探索プロセスをOptunaによって高度に最適化しています。
本システムにおいてOptunaは、単なるパラメータ探索を超えた重要な役割を担っています。具体的には、ユーザーが指定した組成や条件に基づき、候補となる結晶構造(原子配置)を生成し、エネルギー指標に基づいて効率的な探索ループを構成します。この際、Optunaが得意とする大規模な非同期並列処理を活用することで、数万から数十万件に及ぶ構造候補の評価を、現実的な時間枠内で実行可能にしました。これにより、研究者は膨大な試行錯誤から解放され、より本質的な物理的・化学的分析に集中できる環境が整えられています。
さらに、探索アルゴリズムには遺伝的アルゴリズム(GA)の定番手法である「NSGA-II」をベースにした、結晶構造探索向けの専用ロジックが組み込まれています。データの永続化においても、一般的なリレーショナルデータベースではなく、結晶構造データに特化した「Structure Store」を別途構築することで、ストレージの効率化と高速なアクセスを両立しました。このように、最先端のAI最適化技術と材料科学のドメイン知識を融合させることで、次世代の材料開発を加速させるインフラとしての完成度を高めています。今後、OSSであるOptunaの進化が直接的にMTCSPの性能向上に繋がるという、持続的なエコシステムの構築も大きな強みとなっています。