創薬DMTAサイクルの高速化! Active Learning駆動型Relative Binding FEP(RBFEP)による”実践的”リード化合物最適化の新戦略
- •PFNが能動学習とFEPを統合した「AL-FEP」を開発、創薬DMTAサイクルを劇的に高速化
- •化合物空間のわずか2%の計算量で、ランダム選択を圧倒する高活性候補の抽出に成功
- •独自技術「P-FEP」の高精度予測を大規模化合物群へ適用し、リード最適化を強力に支援
創薬における最大の難関の一つは、天文学的な数に及ぶ化合物の候補(化合物空間)から、標的となるタンパク質に完璧に合致する「鍵」を見つけ出すことです。Preferred Networks(PFN)はこの課題に対し、物理学に基づいた高精度シミュレーションとAIの知能を融合させた新戦略「AL-FEP」を公開しました。通常、新薬候補の特定はDesign(設計)、Make(合成)、Test(評価)、Analyze(解析)という「DMTAサイクル」を何度も繰り返すことで進められますが、実際に化合物を合成して評価する工程には多大な時間と費用がかかります。このサイクルをコンピュータ上で高速に回し、有望な化合物だけを「合成」の工程へ回すことが、現代の創薬において極めて重要となっています。 PFNが提供する「P-FEP」は、相対結合自由エネルギー摂動(RBFEP)という手法を用い、化合物がタンパク質に結合する際のエネルギー変化を極めて高い精度で予測します。しかし、このシミュレーションは非常に計算コストが高く、数万件以上の化合物群すべてを計算するには膨大なリソースが必要でした。そこで開発されたのが、AIが「次にどの計算を行うべきか」を賢く選別する「能動学習(Active Learning)」を組み込んだワークフローです。 このシステムでは、AIが予測の「確信度」が低い領域を優先的に探る「探索」と、これまでのデータから有望とされる領域を重点的に攻める「活用」のバランスを取りながら、計算対象を自動で選別します。検証の結果、ターゲットとなる化合物群のわずか2%を計算するだけで、ランダムな選別を遥かに凌駕する精度で強力な活性を持つ化合物を見出すことに成功しました。これは、砂漠の中からダイヤモンドを効率的に探し当てるような画期的な成果です。 さらに、分子生成AIフレームワークである「REINVENT」を活用することで、既存のデータベースにない全く新しい構造の化合物も探索対象に含めています。ここでは、目的の特性を持つ分子をAIが試行錯誤しながら生成する「Reinforcement Learning」の技術が活用されています。PFNの試みは、高度な物理シミュレーションとAIの自律的な判断を組み合わせることで、従来は数年単位を要していたリード化合物の最適化プロセスを劇的に短縮する可能性を秘めています。