NY州、AIの『専門家なりすまし』を規制へ
2026年3月23日 (月)
- •ニューヨーク州議会上院の法案S7263は、法曹や医療などの免許を持つ専門家を装うチャットボットを規制対象としている。
- •批判的な立場からは、法案の広範な表現が司法へのアクセス制限や、企業のリーガルテック分野における革新を妨げるとの懸念が出ている。
- •法案の提出者は、目的はあくまで詐欺の防止であり、AIを利用した一般的な情報収集を禁止するものではないと説明した。
ニューヨーク州では現在、法律や医療といった専門分野におけるAIの関与を規制する重要な法案「S7263」の審議が進められている。この法案は「免許を持つ専門家を装うチャットボット」から消費者を保護することを目的としているが、法律専門家はその適用範囲が過度に拡大する可能性に警鐘を鳴らした。論争の核心は、この法律が単にAIが人間(医師や弁護士)であると偽ることを禁じるにとどまるのか、それとも専門的な助言とみなされかねない「実質的な回答」を生成すること自体を事実上禁止するのかという点にある。
リーガルテック業界への影響は極めて大きい。もし法案が広義に解釈されれば、企業の契約管理や個人の簡易的な法的手続きを支援する「セルフサービス型」AIツールの利用が犯罪とみなされる恐れがあるためだ。実際に、従来の無資格者による法律事務(UPL)の禁止ルールをソフトウェアにそのまま適用すれば、法的支援を必要とする人々とその費用を負担できる人々との間の巨大な格差、いわゆる「司法格差」を埋めるために開発されたツールを解体しかねない。
これに対し、法案の主導者であるクリステン・ゴンザレス(Kristen Gonzalez)州上院議員は、ユーザーが質問したり一般的な情報を得たりすることを禁止するものではないと釈明した。あくまでAIが免許を持つ人間の専門家であるかのように欺瞞的に振る舞うことを防ぐのが目的だという。だが、現在の法案の文言には依然として曖昧さが残る。その結果、有益な情報への広範なアクセスを犠牲にして、既存の専門職をテクノロジーとの競争から守るための「保護主義」ではないかという批判も根強い。