NIH局長が提唱する「第二の科学革命」
2026年2月10日 (火)
- •NIH局長のジェイ・バッタチャリヤ(Jay Bhattacharya)氏が、研究の再現性と透明性を最優先する科学界の変革を呼びかけた。
- •高リスクな探索的研究を支援するため、助成金支給までのタイムライン再編を含む構造改革を提案した。
- •科学的目標と、政府主導の健康格差研究に対する予算削減との矛盾を指摘する批判の声も上がっている。
アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、ジェイ・バッタチャリヤ(Jay Bhattacharya)局長が提唱する「第二の科学革命」によって、大きなパラダイムシフトを迎えようとしている。バッタチャリヤ氏はMAHA Instituteのイベントに登壇し、科学的権威の分散化に向けたビジョンを提示した。同氏が掲げるのは、論文の出版数という従来の指標ではなく、独立した研究者が多様な手法で一貫した結果を導き出せる「再現性の革命」を中心としたモデルである。
この提案の核心は、これまで過度にリスクを避けてきたとされるNIHの助成金構造の改革にある。具体的には「2+3」と呼ばれる資金調達モデルを導入し、最初の2年間で高リスクな探索的研究を行い、その実現可能性が証明された後に残りの予算を割り当てる仕組みだ。さらに、現在は捨てられることの多い「負の結果(失敗した実験や否定された仮説)」に価値を置くアカデミック文化への転換も目指している。これにより、科学界全体での無駄な努力を削減する狙いがある。
一方で、このイニシアチブの論理性や政治的背景に対しては根強い不信感も存在する。再現性の向上という目標自体は多くの科学者の支持を得ているものの、この「革命」がパンデミック時の政策決定に対する過去の不満と密接に結びついているとの指摘がある。また、政府効率化省(DOGE)が主導する財政政策により、健康格差や多様性に焦点を当てた研究予算が削減される可能性があり、これが科学的目標と矛盾するとの懸念も広がっている。