トランプ政権、AI規制の州権限を制限
- •トランプ政権の新枠組みは、イノベーションを優先し新たな連邦規制機関の設立に反対する
- •連邦法による「プリエンプション」を提案し、州独自のAI規制を無効化して断片化を防ぐ狙い
- •バイアス監査やデータプライバシー、説明可能性に関する義務化が枠組みから除外された
ドナルド・トランプ次期大統領率いる米政権による「人工知能のための国家政策枠組み」が公表された。これは米国のイノベーションを最優先し、連邦政府による介入を最小限に抑える「ライトタッチ(緩やかな規制)」モデルへの転換を鮮明にしている。このアプローチでは、新たな連邦規制機関の設立を避け、既存の政府機関が定める基準や業界主導のベンチマークを重視する方針が示された。
文書の中で最も議論を呼んでいるのは、連邦法が州法を上書きする「連邦プリエンプション(先占)」の要求である。これにより、AI開発を対象とした州独自の法律を事実上無効化することを目指している。地方自治体のゾーニングや政府調達に関しては一定の権限を残しているものの、ニューヨーク州やコロラド州が進める透明性と説明責任の義務化の動きに対しては、明確に反対の立場をとった。その結果、技術のガードレールを誰が制御するかを巡り、連邦当局と州議会の間で法的な対立が生じる可能性が高まっている。
一方、批判的な立場からは、この枠組みには重大な欠落があると指摘されている。特に、アルゴリズムのバイアスや成人のデータプライバシーについては一切言及されていない。連邦レベルでのテストや説明可能性(モデルがどのように判断を下したかを理解する能力)に関する要件がない現状では、警察や教育といった公共サービスでAIを導入する際、地方自治体の指導者は倫理的な懸念に対し不安定な立場に置かれることになる。
技術管理担当者にとって、現実的な対応策は「調達プロセス」に集約されそうだ。今回の枠組みでも内部ソフトウェアの取得に関する地方自治体の権限は維持されているため、担当者はベンダーとの契約に監査要件を直接盛り込むことができる。広範な法的情勢が流動的である中、この戦略は実効性のあるガバナンス層を構築するための有効な手段となるだろう。