MIT、3Dプリントの質感を正確に予測するAI技術を公開
- •VisiPrintは、生成AIを用いて造形前に3Dプリント物の外観を正確にシミュレートするシステムである。
- •設計のスクリーンショットと素材画像から、テクスチャや透明度、積層の様子を忠実に再現する。
- •FDM方式の印刷において、試作の無駄を削減しつつ、プレビュー速度を従来の2倍に向上させた。
マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、デジタル3Dモデルと実際の造形物の間にある外観のギャップを埋めるAIシステム「VisiPrint」を発表した。従来の3Dプリント用ソフトウェアは、主に構造の整合性や機械的な機能に焦点を当てており、色や光沢、透明感といった最終的な外観はユーザーの予測に頼らざるを得ないのが現状である。こうした視覚的な不一致はプリントの失敗や材料の廃棄を招きやすく、実際に3Dプリント用フィラメントの最大3分の1が廃棄物になっているという報告もある。
VisiPrintは、3D設計のスクリーンショットと使用する材料の写真という2つの入力を解析することで機能する。まず、コンピュータービジョンモデルが材料サンプルから視覚的な特徴を抽出し、それを生成AIモデルが処理する。この生成エンジンは、熱溶解積層法(Fused Deposition Modeling)におけるプラスチックの溶解や積層が、光の反射や透過にどのような影響を与えるかという複雑な物理現象を考慮してシミュレーションを行う。その結果、これまでは印刷してみるまで分からなかった微細な質感をデジタル上で確認できるようになった。
また、このシステムはAIが印刷機の特定のツールパス(経路)や制約を遵守するように調整する独自の条件付け手法を採用している。これにより、付加製造(アディティブ・マニュファクチャリング)において「見たままが得られる(WYSIWYG)」体験が可能となり、制作者は物理的な試作を繰り返す必要がなくなる。MITのコンピューター科学・人工知能研究所(Computer Science and Artificial Intelligence Laboratory)のステファニー・ミューラー(Stefanie Mueller)准教授らによる試験では、既存のプレビュー手法に比べて2倍の速度と高い質感の再現性を実証した。この技術は、特に歯科用補綴物や精緻な建築模型の製作ワークフローを大きく変える可能性を秘めている。