MITの「表計算AI」が設計を100倍高速化
2026年3月4日 (水)
- •マサチューセッツ工科大学の研究チームが、表形式基盤モデルを用いた工学最適化手法「GIT-BO」を開発した。
- •設計変数を自動的に特定することで、従来のアルゴリズムより10倍から100倍高速に問題を解決する。
- •高次元の設計タスクにおいて不可欠だったモデルの再学習を不要にし、計算効率を劇的に向上させた。
従来の工学設計は、自動車の衝突安全性に関わる数千もの部品など、膨大な設計変数を扱う際に大きな壁に突き当たることが多い。複雑なシステムの最適解を導き出す標準的なツールであるベイズ最適化は、新しい設計を試行するたびに内部モデルの再学習を強いる。そのため、変数の数が増えるほど計算コストは指数関数的に増大し、実用的な時間内での最適化が困難となっていた。
マサチューセッツ工科大学の研究チームはこの課題に対し、膨大な表形式データで事前学習された表形式基盤モデルを利用する新手法「GIT-BO」を開発した。大規模言語モデルが言葉の文脈を読み解くのと同様に、このモデルは数値データの構造をあらかじめ理解しているため、特定のタスクごとに再学習を行う必要がない。この事前学習済みの知能を組み込むことで、システムは膨大な変数の中から性能に直結する重要な要素を即座に特定できるようになった。
実際のベンチマークテストでは、電力網の最適化から自動車の安全性試験まで幅広い分野において、既存の最新アルゴリズムを最大100倍上回る速度を記録した。あらゆる可能性を網羅的に調べるのではなく、影響度の高い変数にリソースを集中させることで、設計の規模をかつてないレベルまで拡張できる。この成果は、基盤モデルが単なるテキスト生成の枠を超え、科学的発見や次世代製造業を加速させる強力な計算エンジンへと進化しつつあることを如実に物語っている。