生成AIが材料合成を加速:MITが「DiffSyn」を開発
2026年2月2日 (月)
- •MITの研究チームが、拡散モデルを用いて複雑な材料の合成レシピを予測するAI「DiffSyn」を発表した。
- •ゼオライト合成において最高水準の精度を達成し、数ヶ月におよぶ試行錯誤をわずか数分に短縮することに成功した。
- •産業用途に不可欠な高い熱安定性を持つ、新しいゼオライト材料の合成も実際に実現している。
新しい材料を設計することは、実際にそれを作ることに比べれば容易だと言える。AIによって数百万もの理論上の材料構造が生成されてきたが、温度やタイミングのわずかな変化が特性を大きく変えてしまうため、「合成のボトルネック」が長らく大きな壁となっていた。この課題を解決すべく、MITの研究チームは複雑な固形物を生成するための具体的な「焼き方のレシピ」を提示する生成AIモデル、DiffSynを開発した。
従来のモデルが一つの構造に対して一つのレシピのみを割り当てようとしたのに対し、DiffSynは目的地への道筋が複数存在することを理解している。具体的には、合成経路を「一対多」のマッピングとして捉え、科学者に複数の実行可能なルートを提示する仕組みだ。このモデルは過去50年間の科学文献から得られた2万3000件ものレシピを学習しており、ランダムな「ノイズ」を取り除いて意味のある化学的経路を明らかにする拡散モデルの手法を採用している。
研究チームは、複雑な化学的変数のために合成が極めて困難とされる産業用触媒「ゼオライト」に焦点を当てた。DiffSynを活用すれば、通常は結晶化に数週間を要する材料に対し、1分足らずで1000通りの潜在的なレシピをサンプリングし、高品質な初期案を提示できる。このようなエージェンティックAI(自律型AI)へのパラダイムシフトは、化学に最適化された基盤モデルを用いて、リアルタイムで新しい材料を設計・構築する自律型ラボの実現を加速させるだろう。