AIがフィギュアの5回転ジャンプを解明
2026年2月10日 (火)
- •MITの研究チームが、トップ選手向けの技術解析システム「OOFSkate」を開発した。
- •姿勢推定AIが奥行きの課題を克服し、ジャンプの高さや回転速度を正確に計測する。
- •芸術競技における「美」の評価をAIが再現できるかを探る新たな研究も進行中である。
MITスポーツラボ(MIT Sports Lab)が、氷上のパフォーマンスを高精度に解析する革新的な技術を導入した。研究者のジェリー・ルー(Jerry Lu)氏とアネット・“ペコ”・ホソイ(Anette “Peko” Hosoi)教授が開発した「OOFSkate」は、コンピュータビジョンを活用してビデオ映像を詳細に分析する光学追跡システムである。このツールは、トップスケーターが未踏の領域である「5回転ジャンプ」を習得するための指針を提供することを目的としており、回転速度や滞空時間といった具体的な物理データを選手にフィードバックする。
システムの核となるのは、骨格の関節を特定して動きを追跡するAI技術である「姿勢推定」だ。従来のモデルは他のスポーツにおいて奥行きの認識に課題を抱えることが多かったが、フィギュアスケートは垂直方向の高さと角運動量が成功の主要因となるため、標準的なカメラアングルでもAIが効果的に機能するという。これにより、人間の目では捉えきれない微細な動きを可視化し、技術向上に役立てることが可能になった。
さらに研究チームは、共同研究を通じて「芸術的判断」というブラックボックスの解明にも挑んでいる。AIが算出する「美しさ」のスコアが、人間の専門家と同じ推論プロセスに基づいているのか、あるいは既存データのパターンを模倣しているだけなのかを検証するのが狙いだ。この研究は、技術的な卓越性と芸術的な感性が融合するスポーツの評価基準を再定義する可能性を秘めている。AIが提示するデータ駆動型のロードマップは、選手たちがより速く回転し、より高く跳ぶための助けとなり、かつては不可能とされた5回転ジャンプを近い将来の現実に変えようとしている。