マイクロソフト、AI電力不足を救う「超電導」を試験導入
- •マイクロソフトは、AIデータセンターの送電ロスをゼロにするため「高温超電導」技術の活用を模索している。
- •超電導ケーブルは、従来の銅線と同じ設置面積で10倍以上の送電能力を実現する。
- •超電導、中空コアファイバー、マイクロフルイディクスを組み合わせた次世代インフラ戦略を推進中だ。
マイクロソフトは、AI時代の膨大な電力需要に応えるべく、クラウドの基盤アーキテクチャを根本から再構築しようとしている。その鍵を握るのが、電気抵抗をゼロにする「高温超電導(HTS)」だ。従来の銅やアルミニウムの配線では避けられなかったエネルギー損失や発熱を、この先端素材によって事実上排除できる。極低温環境でこれらのケーブルを運用することで、同社は「ロスレス」な送電を目指しており、物理的なスペースを広げることなく、データセンターがはるかに高い電気負荷に耐えられる環境を整えようとしている。
高温超電導への移行は、単なる段階的なアップグレードではなく、インフラ密度の根本的な飛躍を意味する。実際にVEIRやAmerican Superconductor Corporation (AMSC)といったパートナー企業との協力により、HTSケーブルは同じ電圧レベルの従来線と比較して、桁違いの電力を供給できることが実証された。これは、膨大な電力を直接ハードウェアに供給する必要がある、AIチップを満載した高密度サーバーラックを支えるために不可欠な能力だ。さらに、ケーブルが小型・軽量化されることで、大規模な架空送電線の設置を抑えられ、地域社会への影響も最小限に留めることができる。
この取り組みは、マイクロソフトの著名エンジニアであるジュディ・プリースト(Judy Priest)らが進める、より広範な戦略の一環である。具体的には、チップを微細レベルで冷却するマイクロフルイディクスや、高速通信用の中空コアファイバーといった最先端技術とHTSを統合する計画だ。これら3つの技術革新を組み合わせることで、現在のAIスケーリングを阻む「電力の壁」の突破を目指している。従来の電力システムの常識を覆すことで、同社は次世代クラウドサービスを世界的な需要に合わせて動的に拡張し、持続可能性を向上させる体制を整えている。