MetaのAI「DINO」が英国の森林監視を効率化
2026年2月9日 (月)
- •英国のForest ResearchがMetaの「DINOv2」を採用し、イングランド全域の樹冠を1メートル解像度でマッピングした。
- •オープンソースのビジョンモデルを活用することで、高価なLiDAR(レーザー計測)や手作業による調査への依存を大幅に軽減した。
- •この高精度マッピングにより、2050年の樹冠率目標や、全市民が徒歩15分圏内で緑地にアクセスできる環境整備を支援する。
英国政府が掲げる「環境改善計画」は、すべての市民が質の高い緑地から徒歩15分圏内に居住できる環境の実現を目指している。この野心的な目標を達成するには、都市部と農村部双方の樹冠(じゅかん)を正確かつ頻繁に監視する必要があるが、これまでは高コストなLiDARや多大な労力を要する現地調査に依存せざるを得なかった。そこで、英国の森林研究機関であるForest Researchは、Metaが開発したAIモデル「DINOv2」を導入することで、このプロセスの劇的な効率化に乗り出した。
DINOv2は1,800万枚の衛星画像で学習されたオープンソースのコンピュータービジョンモデルであり、全地球規模の樹高マップ作成も可能だ。研究チームはこの技術を国内の航空写真に適用することで、個々の樹木の特定や木材量の損失推定を、過去に例を見ない1メートルという極めて高い解像度で実現した。高価な専用ハードウェアからAI主導の解析へと舵を切ったことにより、3年周期でのデータ更新が可能となり、常に最新の根拠に基づいた政策決定が可能になったのである。
今回の取り組みは、環境科学分野における「基盤モデル」の有用性を改めて浮き彫りにした。従来の手法では小さな森林や都市部に孤立する樹木の特定が困難だったが、DINOv2は複雑な環境下でもその構造を正確に見抜く能力に長けている。Metaが次世代モデル「DINOv3」のリリースを控える中、英国政府はさらなる視覚知能の強化を見据えており、オープンソースAIを活用して国家レベルの持続可能性と公衆衛生の目標を達成するという、世界的な先例を築こうとしている。