医療AI透明性ルールの撤廃、全米医学会らが強く反対
2026年3月3日 (火)
- •米国技術政策担当次官補局(ASTP)は、規制コスト削減のため、AIの透明性を担保するモデルカードを含む34の医療IT認証基準の削除を提案した。
- •全米医学会は、医療AIの導入が加速する中で透明性要件を撤廃することは、臨床医のAIに対する信頼を損なうと警告している。
- •病院団体は、セキュリティ基準の削除が、コンプライアンスの負担をソフトウェア開発者から医療機関側へと転嫁するものだと主張している。
米国技術政策担当次官補局(ASTP)は、医療IT認証制度を抜本的に見直し、過去数年間に確立された数十の規制要件を撤廃する動きを見せている。この提案は、規制の簡素化を通じて事務手続きを削減することを目的としており、ソフトウェア開発者が認証を維持するためのコストを業界全体で約15億3000万ドル節約できると見込んでいる。しかし、主要な医療機関からは強い反発が起きており、監視の弱体化は臨床意思決定支援ツールの「ブラックボックス化」を招きかねないと警鐘を鳴らしている。
論争の中心となっているのは「モデルカード」の削除である。これはAIモデルのトレーニングデータや用途、既知の限界などを詳細に記した標準化された開示文書だ。全米医学会(American Medical Association)を中心とする医療団体は、これらの透明性要件が、現在医師の業務フローに組み込まれた唯一の強制力のある基準であると主張する。こうしたデータが提供されなければ、臨床医はAIツールが患者のケアにおいて安全かつ効果的か、あるいは偏りがないかを検証する手段を失ってしまうのだ。
さらに今回の規則案では、既存の医療法で十分にカバーされているという前提のもと、プライバシーやセキュリティに関する認証基準も削除される。これに対しプロバイダー側は、専門知識や予算が不足している病院が、自ら複雑で高額な技術監査を実施せざるを得なくなると反論している。また、これまで標準装備だったセキュリティ機能を有料化する開発者が現れる可能性もあり、結果としてITセクターの負担が医療現場へと押し付けられる懸念が強まっている。