グーグル、AI向けの「革新によるプライバシー」を提唱
- •グーグルが過去2年間でAIの効率が300倍向上したと報告。
- •Gmailやフォトの文脈を検索に統合する「Personal Intelligence」が登場。
- •ウクライナが行政サービスや書類処理を行う国家アシスタント「Diia.AI」を公開。
グーグルのグローバル担当プレジデントを務めるケント・ウォーカー(Kent Walker)は、先日開催された国際プライバシー実務者協会のグローバルサミットにおいて、データ保護へのアプローチを根本的に転換する必要があると述べた。AIモデルの効率がわずか2年前と比較して約300倍も向上したことに伴い、開発の焦点は単純なチャットボットから、先回りして動く「Personal Intelligence」へと移行しつつある。これらのアシスタントは単にリンクを提示するだけでなく、Gmailやフォトといった個人用アプリ間の文脈を繋ぎ合わせ、自律的にタスクを実行するのが特徴だ。
こうした進化の代表例と言えるのが、チャット形式で行政府のサービスを提供するウクライナの国家アシスタント「Diia.AI」である。市民は複雑なウェブポータルを操作することなく、会話を通じて所得証明書などの公的書類を直接請求できる。しかし、このような利便性を実現するにはユーザーからの高い信頼が不可欠であり、ケント・ウォーカーは、その信頼を「革新によるプライバシー(Privacy by Innovation)」を通じて構築すべきだと主張した。このアプローチは、開発者がモデルの純粋な性能だけでなく、堅牢な切り替え制御や機密トピックへのガードレールといった保護技術においても競い合うべきであることを示唆している。
これらを支えるため、今回の提案ではPrivacy-Enhancing Technologiesの広範な採用を提唱している。これは、AIが生データそのものを参照することなくデータのパターンのみを学習できるようにする、高度なプライバシー保護技術である。幾度も同意を求められることによる「同意疲れ」から脱却し、直感的かつ文脈に応じた保護策へと移行することで、AIが真のパートナーとなる環境を整えるのが狙いだ。さらに、こうした安全基準を優先する企業に対し、政府が規制面でのインセンティブを与えることも推奨された。