AIが3Dプリント製薬を設計。新モデル「FormuLLA」
2026年1月25日 (日)
- •1,400以上の製剤データでLlama 2をファインチューニングし、3Dプリント薬の設計を自動化。
- •薬剤の添加剤やフィラメント特性をAIが予測し、個別化医療の効率化を目指す。
- •小型モデルの「破滅的忘却」や、言語指標と実用性の乖離が課題として浮上。
研究チームは、3Dプリント製剤の複雑な設計を自動化する革新的なフレームワーク「FormuLLA」を導入した。Meta AIのLlama 2をベースに、1,400件を超える専門的な製剤データセットでファインチューニングを施している。このプロジェクトは、材料を熱で溶かして積層する熱溶解積層法(FDM)を用いて、患者一人ひとりに適した用量の薬を作るプロセスの簡略化を目的としている。
医療における汎用人工知能 (AGI) の概念を応用したこのシステムは、単なる数値予測に留まらない。化学的な適合性や機械的な制約について、人間のような論理的思考を展開できるのが特徴だ。研究の結果、モデルは薬の有効成分を運ぶための添加剤(賦形剤)を適切に選定できることが示された。しかし、実装にはまだ高い壁が存在する。
特に懸念されるのが、小型モデルで頻発した「破滅的忘却」という現象だ。これは新しい情報を学ぶ過程で、以前に習得した知識をAIが失ってしまうことを指す。さらに、言語評価のスコアが高くても、それが「実際にプリント可能か」という加工適性と一致しない点も指摘された。言葉として完璧な処方箋であっても、ラボで物理的に再現できない場合があるのだ。
信頼性の高いAI創薬を実現するには、単なるモデルの大型化だけでは不十分だ。言語の流暢さではなく、物理的な制約をいかに処理できるかで評価を下す必要がある。個別化医療の普及に向け、成分の相性とフィラメントの強度の複雑な相関関係をAIがどう解明していくか。今後の製薬R&Dにおいて、この領域が重要な最前線となるだろう。