AI開発者に「注意義務」を課す連邦法案が提出
- •米国上院議員のマーシャ・ブラックバーン(Marsha Blackburn)が、AI開発者に予見可能な損害への注意を義務付ける「トランプ・アメリカAI法」を提案した。
- •AIプラットフォームに対する「セクション230」の免責保護を段階的に廃止し、アーティストのデジタル上の肖像や声を保護する方針を明示した。
- •ハイリスクなシステムへの第三者監査を義務化し、AIによる採用や解雇に関する四半期報告を企業に求める枠組みとなっている。
提案された「トランプ・アメリカAI法(Trump America AI Act)」は、現在の州ごとの規制の乱立を統一された国家標準に置き換えることを目的としており、連邦政府によるAI監視体制への大きな転換を示している。この法案の核心は「注意義務(duty of care)」の導入だ。これにより、AIチャットボットの開発者は「合理的に予見可能な」損害を軽減することが義務付けられる。この法的原則は、企業に対し、問題が発生した後に対応するのではなく、設計段階から安全性を優先することを事実上強制するものだ。
安全性にとどまらず、約300ページに及ぶこの枠組みは、AI生成コンテンツをホストするプラットフォームに対する「セクション230」の免責保護を廃止することを提案し、長年続いてきたテック業界の法的保護に切り込んでいる。アーティストが自身のデジタル上の肖像や声を管理できるようにする規定と相まって、知的財産権とプラットフォームの責任に対してより強硬な姿勢を示した。また、この法案には「子供のオンライン安全法(KOSA)」や未成年向けのAIコンパニオンボットの禁止など、超党派の取り組みも盛り込まれており、アルゴリズムのリスクから若年層を保護するという合意が広がりつつあることを浮き彫りにしている。
さらに、この法案の影響は企業や行政の領域にも及ぶ。上場企業に対して、AIが主導する採用や解雇の状況を四半期ごとに報告するよう義務付けている。特に保守派議員が重視するポイントとして、ハイリスクなシステムは視点や政治的差別を検出するための第三者監査を受ける必要がある。法案はまだ正式に提出される前の段階だが、その広範な適用範囲と大統領の優先事項との整合性は、今後の米国のAIガバナンスをめぐる立法議論の重要な基礎となることを示唆している。