ElevenLabsが5億ドルを調達、音声AIの企業導入を加速
2026年2月12日 (木)
- •ElevenLabsがシリーズDで5億ドルを調達し、評価額は110億ドルに到達
- •ウクライナ政府やアウディF1チームとの戦略的パートナーシップを締結
- •インド、韓国、ブラジルでのローカルインフラ構築により世界展開を加速
ElevenLabsは、シリーズDラウンドで5億ドルの資金調達を実施し、評価額が110億ドルに達する「デカコーン」企業の仲間入りを公式に果たした。この巨額の資金注入は、同社にとって極めて重要な転換点となる。これまでは愛好家向けのクリエイティブツールという側面が強かったが、今やグローバル企業や国家機関を支える不可欠なインフラプロバイダーへと進化を遂げたのだ。音声中心のAI時代は、もはやニッチなプロジェクトではなく、現代のデジタルインタラクションにおける根幹となったことを今回の調達は示唆している。
同社の戦略的な勢いは公共セクターへの進出に顕著に表れており、特にウクライナ政府との提携では、行政の主要サービスに音声を統合する画期的なプロジェクトを開始した。同社は「ElevenLabs for Government」などのプラットフォームを通じ、単にテキストを音声に変換する「テキスト読み上げ」の枠を超えた取り組みを進めている。具体的には、リアルタイムの対話を通じて自律的にタスクを遂行し問題を解決する「エージェンティックAI(自律型AI)」の配備に注力している。
共同創業者兼CEOであるマティ・スタニシェフスキ(Mati Staniszewski)が率いる同社は、この規模拡大を支えるため、インドや韓国においてローカライズを強化している。ビジネス面では、現在のサブスクリプション状況から予測される収益指標である年間経常収益(ARR)が2億ドルという堅調な数字を維持しており、商用利用の急速な広がりを裏付けている。さらに、合成メディア時代における安全性を確保するため、俳優を悪用から守る「ボイスID」システムを導入するなど、AIの倫理的側面にも積極的に取り組んでいる。