Common Paper、法務AIで契約交渉を高速化
- •Common Paperが契約交渉のワークフローを劇的に高速化するエージェンティックAI(自律型AI)「Gerri 2.0」を発表した。
- •AIが契約書の修正箇所を自動評価し、関連部門へ特定の問題を振り分ける機能を備える。
- •法律事務所General Legalとの提携により、複雑な事案に対する固定料金制の弁護士レビューを統合した。
企業運営において、契約交渉は長らくボトルネックとなってきた。営業、財務、法務部門のあいだで繰り返される官僚的なやり取りが、業務の足を引っ張ることが多かったからだ。Common Paperによる「Gerri 2.0」のリリースは、単なる文章作成ツールから、能動的なエージェンティックAI(自律型AI)の領域へと踏み出した大きな転換点といえる。「チームスポーツ」という哲学のもと、専門外の担当者でも自身の所管する契約条項を確認できる仕組みを導入しつつ、すべての変更履歴を厳格に管理することが可能となった。
このシステムの核となるのは、高度に特化したエージェンティックAI(自律型AI)の機能である。システムは受信した契約書を読み込み、企業が設定した交渉基準(プレイブック)に基づいて自動的に変更案を提示する。もし条項がリスク許容範囲を超えていれば、単に警告を出すだけでなく、価格面であれば財務担当、責任問題であれば法務顧問といった具合に、適切な担当者へ自動的に振り分けを行う。これにより手作業による監視時間が大幅に削減され、現在では契約書の90%を3分以内で処理できるという。
学生やビジネスパーソンにとって注目すべきは、人間がプロセスに関与する「ヒューマン・イン・ザ・ループ」モデルの採用である。Common PaperはGeneral Legalと提携し、AIが判断に迷うような難しいケースにおいて、定額制で弁護士のレビューを受けられるオプションを用意した。このハイブリッドなアプローチは、AIが大量かつ反復的な単純作業を担い、人間が高度で繊細な意思決定に集中するという、リーガルテックの新たな潮流を象徴している。
さらに、過去の交渉データを分析し契約テンプレートの改善案を提示する機能は、効率化の好循環を生み出している。企業が多くの契約を重ねるほど、テンプレートはより堅牢かつ実用的なものへと進化していくのだ。こうしたAIの進化は、単なる業務代行を超え、企業の基盤となるビジネスプロセスそのものを精緻化する可能性を秘めている。事務的な摩擦を減らすことで、企業はより迅速な販売サイクルと機敏な経営判断へと軸足を移せるようになるはずだ。