AWSとTGS、地震データAI学習を36倍高速化
2026年4月2日 (木)
- •TGSとAWSが地震探査基盤モデルを最適化し、学習期間を6か月からわずか5日間へと劇的に短縮した。
- •コンテキスト並列化技術の導入により、巨大な3Dボリュームに対するモデルの分析視野が4.5倍に拡大した。
- •Amazon SageMaker HyperPodとDeepSpeed ZeRO-2を活用し、128基のNVIDIA H200 GPUで線形に近いスケーリングを実現した。
地球科学データのリーダーであるTGSは、AWS上でAI学習インフラを現代化することで、地下解析における大きな飛躍を遂げた。チームはAmazon SageMaker HyperPodを活用して、エネルギー資源の特定のために複雑な3D地震データを分析するVision Transformer(ViT)アーキテクチャを最適化した。このインフラ刷新により、これまで6か月を要していた過酷な学習サイクルは、わずか5日間へと短縮された。これは36倍の効率向上を意味し、年に2回しか行えなかったモデルの更新を毎週実施することが可能になったのだ。
今回の連携では、巨大な3Dデータ特有のボトルネックの解消に焦点が当てられた。具体的には、従来のファイルシステムに代わり、Amazon S3からの直接ストリーミングパイプラインを実装した結果、最大80GBpsの総スループットを達成している。また、膨大な計算負荷を管理するために、チームはDeepSpeed ZeRO-2を採用して128基のNVIDIA H200 GPUにモデルの状態を分散させた。これにより、メモリのオーバーヘッドを最小限に抑えつつ、線形に近いスケーリング効率を維持することに成功した。
技術的に最も印象的な成果の一つは、モデルのコンテキストウィンドウを4.5倍に拡大した点である。GPU間でデータを円状に共有するリング・アテンションを採用することで、110万トークン以上の処理が可能となった。この視野の拡大により、AIは微細な断裂と盆地規模の地質パターンを同時に認識できるようになり、エネルギー探査においてこれまでにない鮮明な視認性を提供している。