AIはソフトウェアを殺さない:a16zが説く市場の劇的進化
2026年3月2日 (月)
- •AIによるコードのコモディティ化と、従来のSaaSが持つ優位性(モート)の喪失を懸念し、ソフトウェア関連株が30%急落した。
- •AIによって他社サービスへの乗り換えコストは低下するものの、ネットワーク効果やブランドへの信頼は依然として強力な競争優位性であり続ける。
- •業界が「System of Record(記録のシステム)」から「System of Action(行動のシステム)」へと移行することで、市場全体の規模(TAM)は拡大する。
ソフトウェア業界は現在、AIがコードをコモディティ化し、従来のビジネスモデルを陳腐化させるとの恐怖から「SaaSポカリプス」とも呼ぶべき事態に直面している。実際に2026年初頭以来、主要なソフトウェアETFは30%も下落した。これは、基盤モデルや自動化された「バイブ・コーディング」が企業の景観を空洞化させるという市場の懸念を反映したものだ。
しかし、ベンチャーキャピタルであるアンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz)は、このパニックは的外れであると主張する。ソフトウェアの価値は、決してコードそのものだけに存在してきたわけではないからだ。業界の真の強みは、ネットワーク効果やブランドの信頼、そして容易に模倣できない深く組み込まれた組織的プロセスといった「堀(モート)」にこそ存在する。
AIは確かに他社への乗り換えコストを下げ、従来の「ID課金(ユーザー数ベース)」モデルに挑戦を突きつけるだろう。一方で、これまでコスト面で見送られてきた複雑な業務の自動化を可能にする側面もある。この変化は、単なるデータベースである「System of Record(記録のシステム)」から、エージェントがタスクを実行する「System of Action(行動のシステム)」への移行を意味し、市場規模を大幅に拡大させる可能性がある。
最終的に、ソフトウェア市場は二極化するだろう。汎用AIモデルを薄く包んだだけの製品は激しい圧力にさらされるが、独自のデータセットや特定の垂直市場にAIを統合した企業は、より強固な存在として浮上する。AIは業界の壊滅をもたらすものではなく、ソフトウェアが達成できる領域を劇的に広げる存在なのだ。